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案の定、十数年ぶりかに閉じ込められたお仕置き部屋。
「あー…くん?」
「おう、なんだ?紗羅。」
名前を呼べば微笑んで、当たり前のように返事をするこの男が…あのクマのあーくんだなんて到底信じられるはずがない。
「本当の名前は“アラン”だ。あーくんでもアランでも、好きに呼べ。」
「…嘘も…いい加減にしてよ。あーくんは、可愛い…クマのぬいぐるみで…」
「ああ、だから…」
顔を近づけた悪魔、アランは私の手を自分の頬に擦り寄せ、妖艶に笑う。
「愛らしさはあの時のままであろう…。まあ、随分と男前になりすぎて驚くのも無理はないがなぁ」
「…、近っ…」
「なんだ、こうやって頬を擦り付けるのがお前のお気に入りだろう。」
「…なっ、…やめて…ってば!」
私の腰を寄せて頬を擦り寄せるアランに上昇する体温。
距離は近いし、何かと強引だし、私の疑問にちゃんと答えてくれないから話進まないし!
「い、いい加減にして!あーくんは昨日あの人に燃やされたの!もう…いなくなっちゃったの!」
彼を突き飛ばして叫ぶ。
全力で胸を押したっていうのに、余裕そうにこちらを見下ろす真っ黒な瞳。
その瞳があーくんと重なって、泣きたい気分になる。
あーくんがいなくなって…こんなに辛いのに、どうして傷口に塩を塗るようなことをするの?
忘れたくないけど、忘れないといけないのに…悪戯に…自分かあーくんだなんて、そんな冗談酷すぎる。
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