01_不埒な悪魔、降臨

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「まあ、落ち着け紗羅。」 「…誰のせいでこんなに困惑していると?」 「いつもみたいに俺を抱きしめてみろ。落ち着くぞ?」 「…誰が…、あんたなんて…、冗談やめてってさっきから言って…」 「まぁまぁ、…抱くのが嫌なら抱いてやろう。こっちこい」 「っ、」 手を引かれ、再び彼の腕の中に納められる。 悪魔のくせに暖かい。背中をポンポンと安定したリズムで叩かれて、妙に落ち着いてしまうのが腹立たしかった。 なんで…こんなに落ち着くの?昔から…一緒にいたみたいな…この不思議な感じ。 冗談に決まってるのに…この感じは…なんだか、 「分かってきたか?紗羅。」 「…、」 「まだ認めてくれないか。なぜだ?全身毛に覆われていなければあーくんじゃない?お前はぬいぐるみであればなんでも良かったのか?」 「そういうわけでは…」 「今の俺が“悪魔”だからそんな意地悪をするのか?」 「…っ、それは、」 見上げれば、視界に入った彼が悲しげに眉を下げて、それから私の顎を掴んでクイッと持ち上げる。 今にも唇がつきそうな距離。 明らかに人間離れした美しい尊顔がさらに近づき、憂いを孕んだ表情で口を開いた。 「このツノが恐ろしいか?それともこの長い舌か?お前と違う、クマのぬいぐるみとも違う…この姿が恐ろしいから俺を嫌うのか?」 「…っ、」 「なあ、思い出してくれ、紗羅。お前が5歳の時にこの教会で出会って…それからずっと共に過ごしてきただろう?」 「なんで、…それを、」
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