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「…っ、」
「…紗羅、何故おはようと言わない。…朝はおはよう、それからキスと決まっているだろ?」
「…え?!ちょっと…!」
夢か、幻か…と、未だ状況を飲み込めず、唖然とする私を拗ねた瞳で見つめた悪魔。
伸びてきた腕が私の手首を掴み、再びベッドに引きずり込まれた。
「…いつもは寝起きが悪いのに…今日はすぐ起きれたんだなぁ。」
「は?!…何、言って…」
「ほら、ちゃんと言え。…おはよう、と…」
「…ふ、んん、っ」
強く掴まれた顎を引き寄せられ、唇が合わさった。
目を見開く私なんかお構いなしで、穏やかな表情で口付けるこいつは…一体なんなんだ。
「…っ、…ぁ、ちょっ…と、」
「…中に入るのは初めてだが…うむ、中々だ。」
「ふ、ぅ…」
文句を言おうと開いた唇の間からぬるりと侵入してきた燃えるほどに熱い舌。
まるで別の生き物のように口の中で蠢くそれは、歯列をなぞり、それどころか喉の奥まで愛撫する。
「…っ、んぐ、…っ、ケホ、」
「なんだ、人間の口は小さいなぁ。気をつけないと内臓まで届きそうだ。」
喉を突かれて咳き込むと、舌を引き抜いた悪魔。
首元を押さえて涙目で睨むと、困ったように私の背中を撫でた。
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