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02_不埒な悪魔、加虐
「紗羅、ちゃんとお祈りはしたの?」
「…」
「…っ、あんた、ちゃんと反省してないでしょ?!」
朝からうるさいお母さんこそ…当たり前だけど一切反省などしていないようだ。
結果的にアランとして帰ってきてくれたとしても、あーくんを燃やしたこと…私はまだ許したわけじゃない。
食卓には、スープにトースト、スクランブルエッグにウィンナー。彩り豊かに母の手料理が並ぶ中、当然私の席の前には料理が並べられることはなかった。
前に一度、和食が食べたいと言ってから、毎日がこうだ。
恨みがましく母を睨みながら、自分で炊いた白ごはんを頬張れば、隣で優雅にコーヒーを啜る弟が目を細めながら口を開いた。
「母さん、こんな奴放っておけばいいんだよ。こんな異端…、この家にいるのも汚らわしい。」
蔑んだようなその瞳にはもう慣れた。
親の言うことを聞かない私を姉に持ったせいか、親の言いなりで宗教にもどっぷり浸かっている弟は昔からひどく可愛がられて育ってきた。
それを羨ましく思った時期もあったことにはあったが…正直今では、自分が世界の中心と思って生きている弟が哀れでしかない。
何が異端、だ。私が世界の中心だとすればお前の方が異端だ。
異端、なんて言葉は、中心をどこに置くかの話だ。
そんなことにも気づかず、自分以外は間違いだと否定する行為は愚かなものだと私は思う。
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