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…ああ、可愛い。
細いながらも筋肉質な体も、蛇のように鋭い奥二重も…可愛いからかけ離れているというのに。
私に嫌われていないかと、チラチラとこちらを見上げてくる姿は、いじらしくて、可愛い以外の何者でもない。
アランの横に腰を下ろすと、古いベッドがギシリと音を立てる。
相変わらず眉を下げて、恐る恐るこちらに顔を向けたアランに呆れたような笑みを見せると、彼は安心したように表情を緩めた。
「もう、あんな勝手なことしたらダメだよ?」
「…お前が…いじめられていてもか?」
「うん、ダメ。あんな超常現象、大ごとになったら面倒なんだからね?」
「…分かった。」
「それに、私は大丈夫。あんなの日常茶飯事なんだから。」
「…とはいえ、傷つかないわけじゃなかろう…」
「…」
アランの言葉に返す言葉が出なくなり、思わず押し黙ると…アランは無言で私の体を自分の広い胸に押し当てた。
悪魔のくせに、暖かくて、優しくて…涙が出るほど安心する。
私の肩を強く掴み、私の頭に顎をのせたアラン。静かな地下室で彼の低い声が鼓膜を揺らした。
「お前は紗羅だ。…異端なんかじゃない。お前の世界では…お前がいつも中心だ。」
「…っ」
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