02_不埒な悪魔、加虐

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「俺だってそうだ。天使の敵は悪魔で、悪魔の敵は天使。 そんなの誰が決めた?俺は悪魔であり、1つの生き物で。考え方も心もみんなとは別にある。 それなのに、どうして悪魔で括って忌み嫌う? おかしいよなぁ、俺は俺なのに。種類だけで判断されるなんてなぁ」 彼の言葉に心が痛む。 私も彼を初めて見た瞬間、悪魔だから、とその存在を否定したのだから。 小さく「ごめん」と呟くと、体の拘束を緩めたアランは優しく笑って頬を撫でた。 「謝るな。固定観念っていうのは厄介なもんだ。謂わばお前の生きた成長の証だ。」 「…でも、」 「紗羅はその観念を曲げて俺を受け入れた。それが俺にはすごく嬉しいんだ。あーくんとしてお前といた時間が…悪魔の俺を守ってくれたと思うと…一層、お前のことが、お前との時間が…愛おしいよ。」 「…アラン、」 宝物でも見るみたいに私を見る黒い瞳が、私だって愛おしい。 ずっとずっと、私を守ってくれた存在が…こうして私を抱き締めてくれる。幸せで、私の人生…これ以上なんてないと思えるくらい幸せで。 「紗羅だって…神に使える者になると、お前自身で決めたわけじゃない。教会の家に産まれた、それだけだ。 それなのに、どうして普通じゃないと言われる必要がある。」 「…うん。」 「普通、普通じゃない、…なんて。この世の誰も決めることなんて出来るわけがない。全く個性のない人間…なんて、それこそ普通じゃないだろ?」 「ふふ、…そうだね。」
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