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アランの薄い唇が…ゆっくりと動く。
それがやけにスローモーションに感じるのは…疲れた脳のせいだろうか。
「…我が祖先よ、明けの明星に見守られし暁天に…悪魔アランと天使サラの名の下に汝の真なる力、目覚めよ…」
私たちを包む白と黒の渦が更に勢いを増して大きくなる。
繋いだ手から眩しいほどに溢れ出すこの光は…私とアラン、二人の力らしい。
アランが私を見つめる。
別れを惜しむ、私と同じ表情で切なく微笑んだ彼は、そっと願いを紡いだ。
「どうか…俺を、……人間に。」
「…っ、」
予想外のその願い、私が理解するより早く…彼の体が渦に飲まれた。
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