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教会の家に産まれ落ちた私は、文字を書けるようになるより早く神の教えを勉強させられた。
毎日のお祈り、毎週日曜の礼拝。
当たり前のように入れられたキリスト系の幼稚園では皆が十字架のペンダントを首からぶら下げ、食事の前には謎の言葉のあとにアーメンと唱える。
正直、気持ちが悪かった。
見たこともない誰かに祈ることも謎だし、自分たちが正しいと、神が正しいと…信じて疑わないみんなの瞳が不気味だと…幼いながらに感じてしまっていたんだ。
そして、ある日、母に神話の読み聞かせをしてもらっていた時のことだ。
それは、神に反逆したある天使が神の怒りを買い、天使から堕され悪魔となってしまうというような内容だった。
「紗羅はこんな悪魔になってはダメよ?毎日神に感謝して生きましょうね。」
気味が悪い笑顔で私にそう言った母親に、私は思わず尋ねてしまった。
「…悪魔は悪いことをしたの?」
「え?」
私の疑問に母は顔を引き攣らせる。
「そりゃあ、神に反逆するなんて…許されることじゃないわ…神様はいつだって正しいんだから…」
「でも、悪魔にとっては正しくないからケンカしちゃったんでしょ?」
「…」
「悪魔は悪いことをしたのかな?神様とは違う自分の気持ちを伝えたかっただけなんじゃないのかな?神様が正しいって誰が決めたの?」
次から次に溢れ出す疑問。
本当の本当に…分からなかったのだ。分からないから気持ち悪い。こんな感情を抱えながら、無条件に神を信じるだなんて、私には出来なかった。
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