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それからは18歳のこの歳になるまで、あーくんはずっとそばにいてくれた。
家族から「お前は異端だ」と冷たくされようが、神を信じる周りの友達に馴染めなかろうが…
あーくんがいてくれれば平気で。
みんなへの不満は夜寝る前にこっそりあーくんにだけ話して、母親と約束したとおり口答えするのはぐっと我慢。
毎日欠かさずにお祈りをして、教会の手伝いもちゃんとして…
表面だけでも周りに馴染めるように努力した。
それなのに…だ。
昨日の朝、あーくんは母親に殺された。
いつも起きたら胸に抱いているはずのあーくんが見当たらず、自室の窓から庭を覗くとモクモクと煙が上がっていた。
「まさか…」と血の気の引く思いで庭に出ると…黒の灰に成り果てた…彼の姿が。
元からあーくんのことをよく思っていなかった母親。
「茶色や白色のくまなら可愛いけれど、なんで不吉な黒色なの?」って…あーくんを一目見た時からそう言って彼を侮辱した。
それでも、約束を守って言うことを聞くようになった私を見て、あーくんを取り上げるなんてことは今までしなかったのに…。
「…なんで、こんなこと…」
涙ながらにそう尋ねれば、母親はこちらに目もくれず口を開いた。
「一昨日、うちの御神木に雷が落ちたでしょう…?
ついに神がお怒りになられたのよ。本当はあのぬいぐるみが来た時から嫌なオーラを感じてた。
でも、あなたがあまりに大事にするから容認していたけど、もう限界よ。」
「…何言って…」
「このぬいぐるみは邪悪だわ。ここで祓っておかないと。」
「…」
長い木の棒で灰をかき混ぜる母は、私から見れば毒薬を作る魔女みたいに見えた。
そんな、勝手な理由で…あーくんは、私の唯一の心の支えは…燃やされたのか…。
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