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京作は窓から目線を外し、まっすぐに魁の頭を見た。が、車がカーブに差し掛かったので、魁は後写鏡を見ていない。
「そうだよ。あいつ、ライス・ロードの幽霊のことをえらく気にしててよ。可哀想だから、少し話を聞いてやってくれ。特に、あの子達は〇〇を呼べって言ってくるはずだから、ぜひとも呼んでやってくれ、連れて行ってやってくれってさ」
「……」
「実際、幽霊の奴ら、呼べって言ってた。父ちゃんと母ちゃんを呼んでくれって」
「……まさか連れて行くのかい。これから」
「は? やるわけねぇじゃん面倒くせぇ。俺、親分の言うことなら何でも聞くけど、初対面の幽霊の頼み事まで聞いてやる義理はねぇもん。残念滑舌の頼みは……まあ半分は聞いてやったから、こんなもんでいいだろ」
「……」
「それに、なんか幽霊と話してるとよ、具合が悪くなってくる感じがした。なんか今もちょっと頭痛ぇもんな。だから、いくら親でも、来ねぇ方がいいって思ったんだよな……」
「……」
「どうした親分。なんで黙んの」
「……いや。これは、どう言ったものかと思って」
「何を?」
「でも、他に言いようもないか……。いいかい、言うよ。気を確かにね」
「だから、何を?」
「……今朝、米中君に会った? 話をした? ……そんなわけないじゃないか。彼は風邪を拗らせて、先週亡くなったんだから」
「は? ……」
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