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「ノッコ、すごい鼻血出てる! 動かないで!」
立とうとした私の肩を友達のアキが抑える。
これ鼻血なんだ。この感触って結構多くない?
高校生にもなって大勢の前で鼻血出すなんて、恥ずかしくて泣きたくなった。手で鼻抑えたままどうしていいかわかんない。
「倉掛さん、ゆっくり手を外して」
俯いてる私の顔と抑えた手が、突然何か柔らかいもので覆われた。優しい声。
「ふぁい……」
そっと手を抜き取ってから、誰かがピンクのハンドタオルを顔に当ててくれたんだって気づく。お礼言おうと思って確かめたら、二年女子の先輩だった。保健委員会で一緒の、確か──。
「ごめんなさい、これで手を拭いてあげてもらえる?」
「あ、はい! 屋敷先輩」
そうだ、屋敷先輩だわ。
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