Tenderness

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「おかーさん! 血って洗ったら落ちる? どうしたらいいの?」  家に帰って玄関入るなり矢継ぎ早に口走る私に、お母さんが訊き返して来る。 「血? 何、怪我でもしたの?」 「鼻血出ただけ。もう平気。……ねえ、教えてよ」  先輩から借りたハンドタオルを突き出して、お母さんを急かした。落ちるかどうかはともかく、試してみないと。 「これは……。もう諦めて捨てた方がいいんじゃない? それくらいまた買えばいいでしょ」  血染めのタオルにお母さんがあっさり言うけど、そんなことできるわけないじゃん! 「ダメ! これ先輩に借りたの! 洗って返さないと」 「乃梨子(のりこ)。他人の血の付いたもの、いくら洗って見た目綺麗だからって平気で使えるの? しかも手や顔拭くタオルを」 「──無理、かも」  訊かれてすぐ答え出た。うん、無理。 「でも勝手に捨てたりできないよ」
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