死にたくなった夜

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「・・・死にたくなったから」 「もっと具体的に。」 「・・・理由・・・なんて・・・」 「特にないって言うんでしょ?」 彼女は笑った。 「人間ってバカだよね。自分の知ってる世界が全てだと思いこんで、そこで苦しくなったから、死ねば別の世界にいけるとでも思ってるんでしょ」 笑いながら、その眼差しは鎌のように私の瞳を貫く。 「あまいよ。人間。」 「・・・・!!」 怒りなのか 悲しみなのか 私の心は、なにかに侵食されていく。 それは同時に 全てを見透かされたことを意図していた。 あともう一歩 そのもう一歩の勇気を踏み出すだけで、私は全ての感情とも現実とも別れることができる。 ただそれだけなのに・・・ 喉の奥が熱くなっていく。 「・・・死神なんでしょ・・・」 「うん。」 「だったら・・・早く殺してよっ・・・こんな世界っ・・・生きていても」 「しょうがない」 次の言葉を奪われた私は、体勢を崩した。
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