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「春を呼べ‼︎」
薄紅色のパジャマのまま、春青年はのっそりと部屋に入ってきた。
そして、それはそれは大きなあくびをして──……。
「なに?」
「なに? じゃない! お前まだ納品終わってないだろ‼︎」
「納品……?」
春青年は暫くぼうっとした後、ぽんっ、と手を打った。
「桃、梅、桜」
「いやそれ以前‼︎ 『はるいちばん』すら納品されてない! あれを見ろ! 冬青年、終わり時がわからなくて泣きそうだぞ? 気温調整機も今にもぶっ壊れそうだぞ⁉︎」
春は呑気に、ふふふ、と笑う。
「ぶっ壊れたら、あいつに自腹きらせればよくない?」
「可哀想だろ! 経費でおとすわ!」
冬青年が今にも泣きそうな……いや、泣き出した。
「春先輩──っ! 早く代わってほしいっす‼︎」
冬青年の情けない泣き顔に、春青年は心底面倒臭そうに溜息を吐いた──次の瞬間。
「やっべ」
下から、物が次々と吹き飛んで壊れた音や、人間達の悲鳴が聴こえてきた。
「……お前ら! もう年の瀬の徹夜麻雀禁止‼︎」
今年も、神様の苦労は絶えない。
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