神と噛みと髪と加味と

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私の名前は神戸華(かみとか) 美兎(みと) 実家の神社で巫女をしているわ。 天照大神様とか有名な神様を祀っている神社は多いけれど、私が巫女をしている神社が祀っている神様は変わっていてね。 祀っている神様が宿るのは 【金平糖】 ―――――――――――――  日の出と共に、ぱぁん、ぱぁん。と、私が力強く手を叩く音が境内に響き渡る。 「金平神(こんぺいしん)様。本日も日本が平和で在りますようにお力をお貸しくださいませ。」 ぱぁん、ぱぁん。 もう一度力強く手を叩きお辞儀をすると、境内に『や〜だね。』と、にやけた声が木霊(こだま)して、私の目前にボフンと煙が立って金平神様が姿を表した。 出たな。 コイツ、見えるのよ。 や。私が特別な何かを持ってるのじゃなくて、普通に見えるのよ。誰にでも。 やっぱあれよね? 金平糖が神様になった?つまり、物が神化した? つまり、付喪神(つくもがみ)九十九神(つくもがみ)?みたいな? 付喪神?九十九神?って妖怪なんじゃね?だから見えるんじゃね?とか思うのだけれど、既に神様として祀っちゃってるし、神主であるお父様に「ウチの神様って、実は妖怪じゃね?」なんて、何だか怖くて聞けないし。 お父様には「金平神様には、毎日休まず必ず気取らず焦らず日本の平和を祈りなさい。」と言われるのだけれど、そもそも金平糖よ?神様であろうと妖怪であろうと、金平糖のコイツに何が出来んの?って内心思う私は駄目かしら? そんな金平神様の身長は1メートルくらい。 金平糖としては大きいね。 全体のシルエットはいわゆる人形(ひとがた)。 痩せ型では無く、贅肉タップリのデブ型ね。 それはまぁ、元が金平糖なのだから丸くて当たり前なのかしらと私は思ってる。 ただ、大きく私達人間と違うのは【頭頂部にモザイクがかかっている】事ね。 「ねぇ金平神様。なんで金平神様の頭には髪の毛じゃ無くてモザイクが乗っかっているの?」 『うるせぇ黙れ。』 金平神様は頭のモザイクのことを聞かれるのを極端に嫌がるの。それが何だか面白くて、私も毎日質問しちゃうのよね。これって神イジメかしら?
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