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今日はぼくの六回目の命日。パパとママは仲良くぼくのお墓に来てくれた。
「春人、来たぞー」
そう言って、墓石に水をかけてくれるのはパパ。
「春人がもし生きてたら、中学生ね」
そう言って涙ぐむのはママ。
「はるとおにいちゃーん、こんにちはあっ」
そんな可愛らしい声は、ぼくの妹だ。
「おにいちゃん、春菜のことみえるぅ?」
うん、見えるよ見える。ぼくも今手を振り返しているけれど、春菜からも見えるかな。
「やっぱみえないかあ」
残念、やっぱ見えないか。
春菜のいたいけな行動に、ママはまた泣いていたかもしれない。パパはそんなママの肩を寄せて、春菜の手を握って言った。
「春菜のことはママとパパ、そして死んじゃったお兄ちゃんが作ったんだよ」
その言葉にきょとんと目を丸くさせた春菜はこう聞いた。
「おにいちゃんも春菜をつくったの?しんじゃったのに?」
「ああ、だってお兄ちゃんが工場長だもの。お兄ちゃんが春菜を作ると決めたんだ」
「こうじょうちょー?」
「はははっ。意味わからないよな、ごめんごめんっ」
自分で言った言葉にひとりで笑ったパパなのに、それがママにも春菜にも伝染して、みんなが笑っていた。
そんな幸せな家族に混ざれないのは少し寂しいけど、それでもいい。愛でできたぼくはいつだって、愛に包まれているから。
パパ、ママ、春菜。これからもずっと仲良くね。
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