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9 鋼鉄の血戦
「所持者の身を案じたか。サモンブックよ。ルクサキラ……。ほう、面白くなって来たじゃねえか」
自身の攻撃を、はじき返されたのにも関わらず、メタルロウニックは、この状況に感興しているようだ。やはり、奴は、見た目通り、戦闘狂の危険な奴であることは、変わりないようだ。
そして、俺の頭上に現れた、巨大な魔法陣。
それは、迅速に、メタルロウニックとは、対照的な、白い巨大な箱を呼び出し、奴の一閃を、弾き、メタルロウニックは、俺から距離を取り、体制を立て直した。
その後、白い箱は勢いよく俺の上に、落下し、周囲には、砂埃が、舞ったのである。
気づけば、目線は、高くなっており、両手は、既に、どこの金属かは分からない、白い金属で構成されていた。目の前には、メタルロウニックが変身したボディが黒光りするアンブラヴァルチャーが、剣を構えて、間合いを、計っている。
そして、軽く下を覗いてみると、俺に向けて、手を振っているクリスチアーヌや、建物の瓦礫が、群小に見える。
「さあ、世界を巡る決戦だ。ルクサキラ。メタリックに飾ってやるよ」
「望むところだ、アンブラヴァルチャー。だが、残念だったな。オルニキストリアの王になるのは、この俺だ」
あれ、どうなっているんだ……。王って何。勝手に、口から出て来たんだけど……。
まあいい、今は、奴を倒さねば。
俺は、身体を震わせ、腰から、大剣を引き抜いて構える。
「ふざけるなよ。アラバスタ! その軽口を叩けるのも今の内だ!」
メタルロウニックは、そう発言すると、その直後、俺の方に向け、黒翼を、広げて、
大剣を、持ち、ラグビー選手が白目を剥きそうな、タックルを仕掛け、突き刺そうとする。
俺は、それを、すんでの所で、左に回避し、メタルロウニックの背後を、白い大剣で、切りつけ、蹴りを加える。
メタルロウニックは、前に倒れ込み、周囲の瓦礫、アニマラピスが、音を立てて壊れる。が、すぐさま立ち上がり、俺に向かって、剣を、振り下ろす。
だが、俺は、奴から、繰り出される攻撃を、大剣で難なく受け止める。
奴から、続いて繰り出される、左一文字、袈裟切り、一文字。
剣がぶつかり合う、そのたびに、虹色の火花が、散る。
ところで、なぜだろう。奴は、俺よりも圧倒的に筋力、特に、膂力で勝っているはずだ。
それなのに、変身後は、俺と同等、あるいは、それ以下なのかもしれない。
そういえば、アンブラヴァルチャーとルクサキラは、宿敵の関係と、メタルロウニックのサモンブックが、言っていたな。
奴は、俺と同じ、所謂、剣術の使えぬ一般人だ。
だが、このまま鍔迫り合いを、続けていれば……考えたくも無い。
『もしもし、聞こえてる? 灰生総司君』
俺は、脳内に突如響いて来た、クリスチアーヌの声に、思わずたじろぐ。
「えっ」
そして、俺は、その隙をメタルロウニックに突かれ、奴の重厚な斬撃を、受けてしまった。
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