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5 英雄目録1st
「灰生総司君。君には、このサモンブックを使って、メタ郎……、ぷっ、メタルロウニックを、討伐、もしくは、この世界から、追い出してくれればいい」
彼女は、まだ、メタ郎と言うワードに、ツボっているようだ。
そんなことを、言いながら、穢れの無い白いローブの袖から、一冊の本を取り出した。
その本は、処女雪のように真っ白な表紙で、タイトルも、著者名も、何も記入されていない。ただ、判る事は、この本、微妙に何か、蠢いていないか……。
すると、クリスチアーヌが、サモンブックを見つめている俺に声を掛けた。
「どうした、灰生総司君。サモンブックに、ナノマシンが使われている事に驚いているのかい。君たちの世界にも存在しているじゃないか」
本に、ナノマシンだと……。どうしたらそんな発想が出来るのかと、俺は、驚嘆したが、
まあ、異世界からやって来た人間の持ち物だ。気にしない様にしよう。
「さて、灰生総司君。まずは、この、新品のサモンブックの表紙に、触れてみて欲しい。
それで、契約は、完了だよ」
俺は、右手を恐る恐る、クリスチアーヌから、差し出されたサモンブックの表紙に置いた。
『All Green Complete』
すると、機械で合成された心気味よい音声が、サモンブックから流れ、そのまま、右手を置き続けていると、やがて、白かった本が、藍染めのように、蒼く、蒼く、染まっていく。
数分後、俺が、サモンブックの表紙から、手を離すと、そこには、俺の名前が下に、中央には、薔薇、一番上にタイトルである、【英雄目録1st】と、ブロンドの髪のような輝きを放つ金箔の様な物で、刻印されていた。
「英雄目録1st……」
「英雄目録1stか、灰生総司君。使い方を、教えるよ。昔、持ってたんだ」
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