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7 肴には、日本酒を
「「メタルロウニック……」」
その男は、正に、家畜や、農作物を荒らす、十二支の猪を、体現した男だった。
背丈は、俺や、クリスチアーヌよりも遥かに高く、2m50cmぎりぎり、あるかないか位だ。
そして、顔には、血痕や、埃で、汚れてはいるものの、鈍く輝く銀色の、目元を覆うマスク。そのマスクには、二対の同じく金属製の牙、犬歯が溶接されていた。
しかし、マスク越しから判る顔は、傷だらけであるが、元は、日本男児らしい男前な顔だったのだろう。だが、彼は、日本男児ではないはずなのだが。
彼の体つきは、ただ、がむしゃらに、やましい考えで、身体を鍛えていた俺とは違う差があった。全身が傷に覆われていて分かりづらいが、彼の腹筋は、6つではなく、8つに割れている。
詳しい筋肉の部位の具合は、割愛させてもらうが、全身の筋肉の鍛え方のレベルが違う。
プロレスラーの体系は、筋肉と脂肪どちらも多いらしいが、彼は、その体系から、脂肪だけを抜き取った重戦車……。いや、彼は鉄の猪以外の何物でもない。
その肉体を、身に着けている、袖の無いデニムジャケットが、彼の野蛮さ、凶暴さを引き立たせているのは間違いない。
「よお、クリスチアーヌの姉さんよ。解っていると思うが、お前の部下は、全員殺したぜ。まあ、俺の機械たちも倒されて、長えクールタイムに、入っちまったがな!!」
メタルロウニックは、相変わらずしゃがれた声だ。後、酒の匂いが彼から漂ってくる気がするのは、何なんだろうか……。
「ところで、クールタイムって何ですか。クリスチアーヌさん」
俺は、メタルロウニックにバレない様に、クリスチアーヌに、耳打ちする。
そして、クリスチアーヌも、小さく返す。
「灰生総司君。召喚された、英雄は、倒されると、自分自身で、変身する事も出来なくなり、暫く使えなくなる。ただ、召喚せず変身するだけならクールタイムは、発生しない」
「何、話してんだ? お前ら? もういい。酒の肴にしてやる。ブハハハハハ!!!!!!」
メタルロウニックは、少しキレ気味に、そう言うと、腰に付属しているサモンブックを取り出し、ページを捲ると、
「サモン・チェンジ! アンブラヴァルチャー!!」
彼が、両手を握り、気合を入れ叫ぶと、彼の頭上20mの高さに、巨大な魔法陣が出現した。
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