『地球運営委員会の責任者を呼べ』

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『地球運営委員会の責任者を呼べ!』 もう俺は耐えられなくなって、思わず空庭に向かって叫んだ。 『あの世で、「来世はどの星の人生ツアーを体験されますか?」って聞かれたので、地球にするわって言ったんだよ。たぶん。だから、俺は今ここにいるんだよ。地球ってとこにね。なのに、なんなのさ。地球と来たら、色々メンテナンスするとこ多いじゃない?自然も人間もどうなってんのさ。壊れかけてるじゃん。』 俺が大声で話していても、空庭は静まり返ったままだ。よほど運営委員会の奴らは、小心者か冷酷非道な奴らに違いない。そりゃあ、こんな地球になるはずだわと思った。 『いい加減に出て来て、返事するなり説明するなりしろよ。人が話しているのに礼儀知らずだな。俺が地球運営委員会の責任者なら、もっとマシな地球にするのに選択ミスったわ。次にあの世で同じこと聞かれたら、今度は地球運営委員会の代表取締役社長って答えてやるわ。』 相も変わらず空庭は静かで、雲が気持ち良さそうに泳いでやがる。  だが気が付けば、俺の周りには人が集まって来て少々騒がしくなっていた。 『あの人大丈夫かしら...』 『あのおじさんには近づいちゃダメよ。ママのそばから離れないようにね。』 『何か悩みでもありそうだな、あの人。』 『まあ、春だから仕方ないさ。』 『お巡りさんを呼んでよ。』  ひそひそ話が聞こえてくるのであたりを見まわした。不快感をあらわにした表情で、俺を見ているやからがいる。 『しまった。またやっちまったな。お巡りさんが来る前にずらかりますか。』 慌てて起き上がると、スーツについた土をパンパンと払い落とした。  公園の芝生で横になると、ついつい我を忘れてしまう癖。いかんいかん。ぼーっと空を眺めてたら、俺一人だけしか居ないような気になってしまう。今日も営業上手く行かなくて、上司には怒鳴られるわ得意先では頭下げっぱなしだわ。これで家に帰っても、嫁には偉そうに言われるし子供はほとんど口きかないし。テレビつければ、暗いニュースが多いしな。異常気象だの戦争だのウイルスだのって、人間も自然もどうなってんだーみたいな。  そんな世の中なのに、空は知らん顔して俺たちを見下ろしててさ。思わず叫びたくなっちまった。  空庭も青空営業が終了らしく夜を呼んで来てるな。さあて、帰りますか。これが日常。俺の地球の人生ツアーだ。まっ、そのうちいいこともあるさ。あっ、今夜は少し贅沢してビール一本追加いきますか。 『明日も頑張ろうぜー。』
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