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結局俺は貰われた。
俺がこの施設の『ボス役』だとしても、皆その覚悟は出来てるようで、
誰もこの施設から去るとも悲嘆する事も無く、俺が貰われる日でも当たり前のように、何時ものような毎日を過ごしていた。
だって皆、何時かは誰かに飼われたいという感情でいっぱいだったからだ。
優しそうな人間の叔父さんに俺は貰われた。
こいつが、俺の事実上の飼い主・・・?!
「今日からお前は『マサムネ』だ。君は片目だから『マサムネ』だ。」
叔父さんに言われた。
『マサムネ』?俺って、野良猫時代に何って呼ばれたっけ?
『おい』、
『こいつ』、
『おまえ』、
『きさま』・・・
思えば、名無しであることを良いことに、ライバルの猫どもにあらゆる呼ばれ方したなあ・・・
『マサムネ』。なかなか良い名じゃないか。
その後何か手続きが何か複雑な事があって、遂に俺は『野良猫』から『飼い猫』に正式になった。
・・・・・・
ここが・・・俺の新たな居場所・・・
猫つづら、
猫砂の入った猫トイレ、
キャットタワー、
部屋に張り巡らしたキャットウォーク、
そして、美味しそうなキャットフード。
ボールや蹴り人形や猫じゃらしといった、オモチャもある。
至れり尽くせりじゃねぇか。
早速、猫つづらに入ってみた。
こりゃいいや!!フカフカだ。
何だか眠たくなった・・・
あくびが出る・・・
寝よう。今までいろんな事が起きて、どっと疲れが出たよ・・・
今日から俺は飼い猫だ。
もう二度と外へは出られないが、外はライバルの野良猫や敵対視する怖い人間ばかりで、命が何度あっても足りない。
潰れた片目どころでは済まないかも知れない。
家に居た方が、無事安心・・・
瞼が重いなあ・・・
寝よう。そして今日から始まった飼い猫としての猫生を思う存分生きていこう。
おやすみなさい。
~今日から飼い猫~
~fin~
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