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『まもなく閉館の時間でございます』
という館内アナウンスが、音楽と共に流れる中、僕は細部を見回っていた。
すると第一展示室の、ある絵の前に立つ、一人の少女を見付けた。
カジュアルな服装にロングなストレイト・ヘアが美しい。
しかし年齢は、恐らく十五くらいだろうと思われた。
「やっぱり現れたか‥‥」
ここは静岡県M市にあるK美術館で、館内には三ケ所の展示室があるが、この第一展示室が最も広かった。
そしてこの展示室では、絵画などの平面アート作品が飾られていた。
僕は、N大学の二年生の頃から、このK美術館に就職しようと思っていた。
その理由は、この少女に会うためだった。
僕が、その少女に近付こうとすると、先輩の職員に呼ばれたので、仕方なく従って玄関の方に向かった。
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