ふつうの裏側

「何か、わたしに言えないことでもあったの？」
「そんなことはないんだけどさ」
「じゃあ、何に使ったの？」
「うん、あのさ。言いづらかったんだけど、日菜子と婚約する前に、ちょっと競馬で大負けしちゃってさ。その時、結構色んな人から金借りちゃって。あ、でもやばいところからは借りてないから。ただその返済を、結婚前にしておこうと思ってさ」
「なにそれ、わたしそんな話聞いたことない」
「だから、言いづらかったんだって。自分が借金した話、将来の嫁さんにするのいやじゃん。でも、もうこれで完済だから、他にはもう借金もないし、これからは日菜子からもらうお小遣いでやりくりするからさ」