ふつうの裏側

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🏠 「なんで、こんなことになってるんだっけ?」  通帳を目の前に広げて、出来るだけ、落ち着いた声を出そうと努力する。感情的になったら負けだ。今回は、10年前のようにでは済まさない。そう決意して、日菜子は隆と向き合った。 「お金が必要なんだったら、相談してくれればよかったのに、なんでこっそり通帳を持ち出したの?」  目の前の隆は不貞腐れたような表情で、テーブルに載せた自分の手を見つめている。叱られている子供じゃあるまいし、と日菜子は苦々しく思う。 「黙ってちゃ、分からないよ」  ね?と隆の顔を覗き込む。 「あのさ、俺も色々あるんだよ、付き合いとか。大体、俺くらいの歳で、小遣いこんなに少なくてやってる奴、他に居ないよね。俺らさ、共働きじゃん。あまりけちけちすんの、いやなんだけど」 「だからって。55万円だよ?それがどんなに大金か、分かってる?」
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