気持ち

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気持ち

ミハルのような女の気持ちを高めることは、いとも容易かった。突き放したり、捕まえたり、嫉妬してみたりすればいいだけだ。 感情の振り幅が大きくなればなるほど、俺への依存が強くなる。それは幼稚園児に信号を教えるより簡単なことだった。 たまに返事をしない。心配になったミハルはきっとサイトの中で俺のことを確認する。他の女とはやり取りしていることを見せつける。そうすれば“何故私には返事をしないのにその女にはコメントするの?”なんて嫉妬する。 そうだ、女の感情を操るには嫉妬が大事なキーワードだ。だが、嫉妬しているという事実をあからさまに告げると、離れていくかもしれない。その女なりのプライドがあるから。 そこそこに嫉妬させて、軽く追い詰めて、そして優しい言葉で包むようにコメントをする。 結局写真は送られて来なかったが、実際に会うことになった。 ◇◇◇ ___まぁまぁだな 約束した駅でそれらしい女を見つけた。なんとなく緊張しているらしいオーラが見える。 飾り立てた女ばかり見てきたから、どこかホッとする見た目だった。毎日ご馳走だとお茶漬けが食べたくなる、あの感覚と似てる。 「翔馬です」 「ミハルです」 まずはコーヒーからと、コーヒーショップに入り簡単に自己紹介をする。それから何時までいられるか時間の確認。 「4時まで?」 頭の中で時間を計算しても、大丈夫だ、そこのホテルなら余裕がある。 初めて会った女に、時間がないからと手抜きのおもてなし(セックス)はできない。きちんと敬意を表して、丁寧に対応しなくては。 恥ずかしそうに俺についてくるミハル。期待してなかったとは言わせない、が、それだけが目的だとも思わせない。 部屋に入っても、カチカチに緊張しているのがわかる女は珍しい。パーティーの夜の女は、酒のせいもあるが自分から服を脱ぐのに。
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