満足

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満足

どこかぎこちなく、自分からはあまりカラダを開かない女だった。どうせここまで来たのだから、思いっきり愉しめばいいのにと思うのだが。 それでも、ずっと満たされていなかったのか、ミハルのカラダからはタラタラと欲望が液体になってこぼれ落ちる。 「…すごいね、ミハル、こんなになってるよ、見て」 指に絡めとったその液体をミハルの顔の前に出す。 「…いやっ!」 恥ずかしそうに顔を背ける、いい反応だ。まだ開発されていないところも多そうで、それはそれで楽しめた。 何度もイカせてやる、俺から離れられなくなるように。甘美で完璧なセックスは、一つの中毒性がある。 ___あとは、そう…言葉にすることだ 息も上がり、乱れまくるミハルの耳元で囁く。 「ミハル?」 「はい」 「俺のこと、好きになって」 「好き、好きです」 「愛して」 「あ…愛してます」 「いい子だね、ミハル。うれしいよ」 「…はい」 そっと頭を撫でてやる、俺に従順な女の出来上がりだ。隠している感情も、一度言葉にするとそれはまるで暗示のように自分に返ってくる。今ミハルは自分で自分に暗示をかけた、“翔馬のことを愛している”と。 ◇◇◇ 満足したのだろう。ミハルの顔つきが変わった。潤んだ目をして俺を見る。 ___手に入れた 門倉ホールディングスの翔馬としてじゃなく、俺自身を好きになった女を。だからと言って、略奪する気はない。体は家族のもとにあっても、俺のことだけを考え続ける女がいるということが、退屈しかなかった俺の気持ちを満たした。 ___次は何をしようか? ミハルを相手に、そんなことを考えているのは楽しかった。
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