女の本性?

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女の本性?

「あなた、お電話よ、沢口さんて女性の方から」 不意に香澄から呼ばれて、ハッとした。 「沢口?誰だ?」 「さぁ?親しい方ならスマホに連絡があると思うけど…」 名前に思い当たらない。 「もしもし?お電話かわりました」 『翔馬さん?』 「えっと、もうしわけありません、どちら様でしょう?」 『あの夜は素敵だったわ、忘れたとは言わせなくてよ』 ___夜?パーティーの後のことか そう言われても、複数人いる女のことなんておぼえちゃいない。それでも。 「もちろん、おぼえていますよ。で、今日はなにか?」 『ちょっとイタズラしただけよ、奥様の声を聞いてみたかったし。ね、何か言ってた?私のこと』 ___なんだ、そんなことか 『なんだか少し疑ってるようですね。でもバラしたりしないのでご安心を。あなたとのあんな素敵な夜を、妻の嫉妬なんかで汚されたくないので』 声をひそめて、相手が望んでいるだろう答えを差し出す。女は女に嫉妬するらしい。そして自分の方が扱いが上だと確認したい生き物だ。もっとも、香澄はそんなこと少しも気にしていないのだけど、それをこの女に言ってしまったらプライドが傷つくだろう。 『そうよね。またお会いしましょうね』 「はい、あのできればスマホにご連絡してもらえるとありがたいです」 『そうね、奥様に邪魔されたくないものね、わかったわ』 そこで電話は切れた。 その電話の主が誰だったのか、さっぱり思い出せなかった。
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