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「ミリアお嬢様……?」
呼び掛けられた声に、はっと我に返る。
まだ私に胸倉を掴まれたままの少女も、訝しむようにじっと私を見ている。
「だ、大丈夫……。もういいわ。」
少女から手を離し、ソファに座ろうとするが足元が覚束無い。
さっきのは何?
あれは……。
「それじゃ、私は失礼しますね。」
混乱している私に、少女は冷え切った声色で告げると、返事を待つこともなく部屋から出て行った。
許可なく立ち去るなんて、そんな無礼を許す訳には……。いや、そんなこと別に気にすることないんじゃない?
無礼を許すなという私と、気にすることないという【私】が頭の中でせめぎ合っている。
「一体何なの……?」
どうにか辿り着いたソファに深く身を沈め、混乱する頭を何とか整理しようとする。
「お嬢様、これを……。
それに顔が真っ青でございます。ゆっくりお休みになられては?」
私付きの侍女が、心配そうに濡らしてよく冷えた布を差し出してくる。
あ、そうか。私思い切り頬叩かれたんだっけ。
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