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「なるほど。仰りたいことはよくわかりました。」 頭を上げると、そこには変わらず無表情のカレンがいた。 「お話は以上でよろしいですか?」 「あ、うん……。聞いてくれて……ありがとう……。」 それには何も答えず、カレンはすっと立ち上がると、部屋を出て行こうとする。 そうだよね、そんな簡単にわかって貰える筈なんてない。 こうやって、最後まで聞いてくれただけでも感謝しないと。 「……正直。」 そのまま出て行くと思っていたカレンが扉の前で立ち止まる。 「今のお言葉が、全て本心だと信じることは出来ません。謝りたいと仰ってくださったことも含めてです。」 「うん、わかってる。」 カレンの言う通りだ。 むしろ、私だったら途中でふざけんなってキレてると思うし。 「それでも、こうしてお話してくださったのは……嬉しかったです。私の名前を呼んでくださったことも。」 カレンは振り返らない。ずっと背を向けたままだ。それでも。 「おやすみなさいませ、お姉様。」 「!!……おやすみ、カレン!」 初めて姉と呼んでくれた妹からは、さっきまでの冷たい空気は消えていたような気がした。 まだまだ距離が近付いたなんてことはないのだろう。 姉と呼んでくれたのも、単なる気まぐれかもしれない。 それでも。 今日から私は、貴女の本当の姉になるんだ。そう決めたから。 もう、貴女を絶対にひとりぼっちにはしないからね。                      
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