雨音のあしあと。ひかりに、ふれる。そして、はじまる恋

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横殴りの強い風とざんざざんざと唸る雨音が僕の行く手を遮る。この信号機を渡れば駅はすぐ目の前なのに。 あと少しで渡りきるという時、コツンと白杖の先が何かに当たった。その直後思いっきりクラクションを鳴らされた。 「ご、ごめんなさい」 右に行ったら避けられるのか。それとも左に行ったら避けられるのか。引き返してもいいけどもうじき赤信号に変わる。頭の中が真っ白になりパニックになりどうしていいか分からず立ち往生した僕の手をぎゅっと握り締め、引っ張ってくれた人がいた。 その人は、 「交差点や横断歩道から五メートル以内は駐停車禁止だぞ!」 なおもクラクションを慣らし続けるドライバーに大声で怒鳴ってくれた。 「もしかしてよしずみさん?」 「大丈夫か?この雨だ。乙葉さんが心配して引き返そうとしたんだが、渋滞にハマってな。良かった間に合って。駅まで送る」 「おぃ、おっさん!兄貴に喧嘩を売ってんのか!」 ドライバーの人かな?ものすごい剣幕で追い掛けてきた。でも、 「次はねぇからな。覚えておけ!」 なぜか捨て台詞を残しバシャバシャと足音を立てて引き返していった。 「パトカーに違反切符を切られると慌てて戻っていったんだ」 「よしずみさん一度ならず二度も助けていただきありがとうございます」 「いいってことよ。気にすんな」 よしずみさんは乙葉さんが来るまで一緒に待っていてくれた。
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