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「実は昨日の夜アパートに帰ったら仕事に行くときに閉めたはずの玄関のドアがなぜか開いていて。怖くてアパートの後ろに住んでいる大家さんに助けを求めたんです」
「そんなことがあったのね」
「乙葉さんごめんなさい。ゆのくんと乙葉さんから携帯の番号を教えてもらっていたのに、頭の中が真っ白になってしまって全然思い出すことが出来なかった」
「謝らないで。咲良ちゃんはなにも悪くないわ」
「それで警察は呼んだのか?」
「はい。大家さんが110番通報するとすぐにじゃないけど三十分後くらいに来てくれました。足の踏み場もないくらい荒らされていると話してました」
「盗まれたものは?」
「分かりません。おじいちゃんとおばあちゃんに聞けば何を盗まれたかすぐに分かるんですけど……」
膝の上に置いたリュックサックを両手で抱き締めた。
「そうか」
「窓ガラスが割られ、玄関の鍵も壊され、怖くて一人でいれなくて。アパートの近くのネットカフェで朝までいました。今日もそこに行こうかなと思ってて」
「よしずみなんとかならない?」
「そうだな。ちょっと電話をしてくる」
ガタンと音がして、よしずみさんがどこかへと向かった。
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