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「よしずみね、見た目が怖いせいかヤクザとしょっちゅう間違われるのよ。咲良ちゃんが怖がらずに接してくれるのが嬉しいみたい。ありがとうね」
「いえ、僕はなにもしていません」
慌てて首を横に振った。
「咲良ちゃんとこうして出会えたのも息子のお陰よね。陽向もなかなか見る目があるじゃないの。見直したわ」
熱いのが苦手だからアイスカフェオレにしたら若いんだからもっと食べれるでしょうとドーナツとミルクレープが乗ったお皿を目の前に置かれた。
「柚木さん、今日のこれからのことだけど」
よしずみさんが戻ってきた。
「知り合いが繁華街で旅館を経営しているんだ。今夜はそこに泊まったらどうかな?柚木さんのアパートに明日行って様子を見てくる」
「住所を教えます」
「いいよ。分かったから。知り合いが刑事をしているんだ。十分もかからない距離なのに何で三十分以上もかかったんだと文句を言ってやった。柚木さん食べないのか?持ち帰りにしてもらうか?」
「はい、お腹がいっぱいなので………」
言い終わらないいうちにぐきゅうう~~と派手にお腹が鳴った。恥ずかしくて俯いたら、
「腹のほうが柚木さんより正直だな」
よしずみさんに笑われてしまった。
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