雨音のあしあと。ひかりに、ふれる。そして、はじまる恋

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ざぁざぁ降りの雨のなかアーケードを徒歩で移動し乙葉さんとよしずみさんにはら旅館に連れていってもらった。 「あら、乙葉じゃないの」 「みさこ久し振り!」 「元気だった?」 乙葉さんは女将さんは知り合いみたいだった。手を取り合い再会を喜びあっていた。 「女将、さっき話した子」 「よしずみ相変わらず可愛げがないわね」 「うるさいな。そのうち姉さんの娘になる予定だから宜しく頼むよ」 「娘?私にはどう見ても男の子にしか見えないんだけど……」 「あら、そうかしら?気のせいじゃない?」 乙葉さんがほほほと笑って誤魔化していた。 ゆのくんから迎えにきてと電話が来て、乙葉さんとよしずみさんがあわただしく帰っていった。 「よしずみはね夜の町をさまよう女の子を保護しては泊まらせてくれとよくここに連れてくるのよ。犯罪にあってからでは遅いと言ってね。男の子はあなたが初めてだけど。お腹は空いてない?」 「大丈夫です」 「お風呂はこっちよ。手すりはここにあるから。ゆっくりでいいわよ」 女将さんの後ろについていった。 あ、そうだ。宿代……いくらあったら足りるだろう。不安でいっぱいになっていたら、 「素泊まりになるけど宿代はよしずみから三日分預かっているから心配しなくてもいいわよ。自分の家だと思ってゆっくりしていって」 不安な気持ちを一掃するかのように笑顔で話し掛けられた。
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