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私服で来たいとださん。本物かと疑う女将さんに、
「そうやって疑ったほうがいい」
「すみませんね。柚木さんはよしずみさんからの大切な預かりものなので」
警察手帳を提示し、女将さんがしっかりと所属先を見てくれていとださんが本物の刑事だと確認してくれた。
「糸と田んぼで糸田だ。宜しくな」
「柚木です。助けていただいたのに本物の警察官かと疑ってすみませんでした」
頭を下げた。
「いいってことよ。見ての通り人相も悪いし、目付きも悪いからな。ヤクザに間違えてばかりいる。柚木さん頼むから頭をあげてくれ。よしずみに怒られる」
肩をぽんと軽く叩かれた。
「安藤っていう弁護士はいつからきみにまとわりつくようになったんだ?」
「会ったのは今日が初めてですが、入院しているおじいちゃんたちとはもしかしたら面識があったかも知れません。糸田さん、何かご存知なんですか?」
「いや、別に。ちょっと気になることがあっただけだから」
糸田さんが言葉を濁し、急に歯切れが悪くなった。
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