雨音のあしあと。ひかりに、ふれる。そして、はじまる恋

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ー桜良さん大丈夫?母さんから話しを聞いて、心配でいてもたってもいられなくて。ごめんなさい。遅い時間に電話を掛けたりして。寝ていたよね?ー 「起きていたから大丈夫だよ。ゆのくんありがとう。心配してくれて、電話まで……。初めての場所だからなかなか慣れなくて。さっきもちょっとした段差に躓いて転びそうになったり、お風呂でも転びそうになったり、一人では心細くて、なかなか寝れなかったんだ」 ーそうだったんだー それから二時間近く、眠くなるまでゆのくんととりとめのない話しをした。 電話越しだけどゆのくんがすぐそばにいてくれる。だから一人でも全然寂しくなかった。 ー桜良さん、明日も早いんだよね?ー 「うん、ゆのくんもでしょう?ありがとう付き合ってくれて」 ー俺のほうこそありがとう。時間が経つのも忘れるくらいすごく楽しかったー 「僕も楽しかった」 ー桜良さんも?嬉しいー なかなか電話を切ることが出来ないでいたら、ゆのくんのほうからお休みなさい。また明日会おうねと言って電話を切ってくれた。 僕のほうが年上なのに気を遣わせてしまってごめんね、ゆのくん。スマホを握り締め、心のなかで謝った。
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