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翌日。バス停でいつものように駅前行きの循環バスを待っていたら、
「咲良さんいた!病院にもいなくて、あちこち探したんだよ」
ゆのくんが息を切らし慌てて駆け寄ってきた。
「どうしたの?そんなに急いで」
「どうしたのじゃない。そんな悠長なことを言っている場合じゃない。ついさっき大雨警報が出たんだ」
「そうなの?病院のなかにいたから全然知らなかった」
「荷物それだけ?」
「うん」
「リュックサックを前で抱っこして。白杖も両手でちゃんと持って。雨がぽつぽつと降りだしているから急いで移動するよ」
どこに?と聞く前にふわりと体が宙に浮いた。
「ゆ、ゆのくん!」
突然のことに驚き、頭が真っ白になった。
「絶対に落とさないから。俺を信じて」
ゆのくんの男らしく凛々しい声に心拍数が一気にあがった。顔を真っ赤にしている僕にゆのくんが、
「咲良さん可愛い過ぎるからますます好きになる」
「え?」
何かの聞き間違いじゃないか、勘違いじゃないかと思ったけど、
「俺は本気で咲良さんが好きだよ」
突然告白され、心臓が大きく高鳴る。ドキドキが止まらなくなる。どうしていいか分からなくて。ゆのくんの腕のなかで小さくなっていた。
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