雨音のあしあと。ひかりに、ふれる。そして、はじまる恋

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「咲良さんはじめまして。陽向の母の乙葉です。宜しくね。あら、やだ。なんで私が緊張しているのかしら?もうやぁね」 嬉しさに弾んだ声。 顔を見ることは出来ないけど、きっと優しいひとなんだろうな。なんて勝手にイメージしていたら、ぺしっと少し鈍い音が聞こえてきた。 「痛い。母さんはしゃぎすぎ。咲良さん、ごめんね。うるさくて」 「悪かったわね、うるさくて。しょうがないでしょう。陽向がこんな可愛い子と知り合いだったなんて母さんひと言も聞いてなかったわよ。どういうことかあとでちゃんと説明してもらうからね」 「マジかよ」気のせいかもしれないけど、ボソリと呟く声が聞こえてきた。 「なんか言った?」 「別になにも。咲良さん、傘をもらうよ。軽自動車だから車高が低いから頭をぶつけないように気を付けて」 手と手がほんの一瞬だけ触れた。その瞬間どぎまぎして真っ赤になってしまった。 「若いっていいわね~~」 「母さん、少し黙ってて」 二人のやりとりを聞いていたら、ぷぷっと笑いが思わず零れた。
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