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ゆのくんと一緒にいるとすごく楽しくて。時間があっという間に過ぎていく。時間がたつのも忘れてしまう。
もっと一緒にいたい。いろんなことを話したいと思うのは僕のエゴなのかも知れない。そんなことを考えていたら、
「咲良さん、大丈夫?顔色が悪いよ」
ゆのくんに心配をされてしまった。
「ゆのくん、あのね……」
勇気を出して話し掛けようとしたら、
「次は医科大学附属病院前」
無情にも車内のアナウンスに遮られてしまった。
「咲良さん、バス停に着いたよ。下りよう」
バスが止まったのを確認してから立ち上がり、ゆのくんの腕に掴まり乗車口に向かって歩き出した。
「バス停に車が停車していて、その後ろに止めました。下りるとき段差に気をつけてください」
「ありがとうございます」
親切な運転手さんにお礼を言ってからバスを下りた。
「自転車が来る」
ゆのくんがすっと前に出た。
「危ないな。ちゃんと前を見て運転してくれないと。咲良さん、病院まで一緒についていく。いつもより人通りが多いから危ない」
「でもゆのくんが遅くなるんじゃあ」
「俺は大丈夫。咲良さんに何かあってからでは遅いから」
いつも守ってくれるゆのくんの背中、きっと広いんだろうな。背もうんと高い。実際に見ることは出来ないけど、一緒にいるだけで不思議と心が落ち着くし、何よりも安心する。
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