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翌日、私はレンさんに言われた通り、30分ほど早めに出勤した。
レンさんは、店内のカウンターで頬杖をついて、何か読んでいるようだ。
まだ夕方だから、いつものように大きな窓のブラインドを開けて、シャンデリアの灯りはつけていない。
不思議なことだが、自然光で見るフロアは清楚というか、爽やかな明るさがある。
夜のお店といえば、店内が自然光に照らされると、不自然さが感じられることも多い、と前から私は思っていた。
実際に、テレビ番組やweb番組のドキュメンタリーで見たことがあるのだが、昼間のホストクラブやキャバクラなどの映像を見ると、派手な店のほうが、昼間はかえって寂しい印象を受けた。
でも、『やおよろず』には、それがない。
自然光の中で見ると、一体、ここはどういう店なのだろう? と思う人もいるかもしれない。
店の造りや調度品が、女性が好みそうなメルヘンチックなものだからだろうか?
いや、それだけではない気がする。
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