31人が本棚に入れています
本棚に追加
武志は三人を探して建物の中を走り回った。新歓合宿の日のことを鮮明に思い出しながら,自分の他にも櫻子を犯した男たちの表情がまるでリアルタイムで見ているかのように頭に浮かんだ。
「誰が卒業旅行にここに行こうって言ったんだっけ……? 桃香だと思ってたけど,あいつ,ここのことを一言も言ってなかった……。おかしい……嘉晃……? そんなはずはない……なんで俺たちはここに来たんだ……」
建物の中を走り回り,大広間のドアを開けると,部屋の中央に花粉に埋もれた三人が横たわっていた。
「桃香! 華! 嘉晃! 大丈夫か!?」
慌てて近づくと,黄色に染まった部屋の中で全裸で横たわる三人の周りだけが真っ赤に染まり,桃香と華の股には一升瓶が刺さって酒が溢れ出ていた。うつ伏せになっている嘉晃の肛門には,あり得ない太さの杉の枝が深々と刺さっていて,裂けた肛門から大量の血が流れていた。
「なんなんだよ……これ……? やりすぎだろ……冗談になってねぇって……」
三人が息をしていないのは,気が動転した武志でもわかった。なにより裂けた股から大量の血が流れている時点で普通じゃないことはわかっていた。
「警察……警察に通報しなきゃ! マジでなんなんだよ……ふざけんなよ……」
スマホを握りしめて部屋を出ようとした瞬間,固い棒のようなもので激しく頭を打ち抜かれ,頭皮の皮がめくれた。
「ぐっっっ,いっっっ……」
声にならない呻き声が漏れ,目の前が真っ白になって大量の花粉のなかに頭から倒れていった。顔を床に打ち付け視界が狭くなり,激しい光が点滅していたが,辛うじて意識は保っていた。
割られた頭に痛みはなく,異常な眠気とともにゆっくりと薄れていく意識のなかで,暗闇で泣いている櫻子の姿が脳裏に浮かんでいた。
櫻子はゆっくりと顔をあげ,武志を見ると真っ黒な瞳を見開き,大きく口を開き大量の花粉を吐き出した。
『逃げんなよ……逃げんなよ……逃げんなよ……逃げんなよ……逃げんなよ……逃げんなよ……』
最初のコメントを投稿しよう!