再会

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 部屋を出て二人を探しながら一旦嘉晃のところへ戻ろうと,他の部屋のドアを順番に開けながら移動した。  廊下の窓から見える景色もすべて黄色く染まり,まるで黄色い砂嵐にでも飲み込まれているかのような光景に恐怖で胸が締め付けられた。 「なんなんだよ……これって普段からこんななのかよ……」  部屋のドアを開ける度に四年前の記憶が一つひとつ思い浮かび,酔い潰れた櫻子を先輩の命令で服を脱がせ,順番に輪わしていったことを鮮明に思い出していった。  武志も嘉晃もその時初めて女の子を知ったのだが,それは櫻子も同じで初体験が輪姦だったことで酔いが覚めた後に精神を病み,大学から姿を消した。 「なんで……なんで,こんな場所を選んだんだよ……。なんで,桃香はここがいいって言い出したんだよ……。なんで俺もここでいいなんて言っちゃったんだよ……。せっかくの卒業旅行なのに……」  手摺に捕まりながら階段を降り,なんとか嘉晃の部屋まで戻ると大声で嘉晃の名前を叫びながらドアを開けた。  さっきまで窓際でスマホを構えていた嘉晃の姿はなく,部屋の中は花粉で覆い尽くされていた。  人の気配は無かったが思い切って部屋の奥まで行くと,開け放たれた窓の向こうに嘉晃と思える影が黄色い嵐の向こうに消えていくのが見えた。
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