再会

「マジでなんなんだよ！　嘉晃！　お前，ふざけてんなら，いい加減にしろよ！　なんなんだよ！？　ドッキリか！？　動画の撮影かなんかしてんのか！？」

　部屋を飛び出し廊下に出ると，窓枠からすり抜けるようにして細かい花粉が入り込み，床を黄色く染めているのが見えた。

　花粉は風に舞い，武志の目の前で渦を巻くとぼんやりと人の形を想像させる姿になった。

「マジでなんなの？　もしかして，みんなでドッキリ仕掛けてんの！？　どうやってんだよ，こんなの！？　ふざけんなよ！　卒業旅行とか言って，最初からドッキリ動画を計画してたのかよ！？」

　窓を叩くような激しい風が一瞬おさまると，ガタガタと揺れる窓の向こうから呟くような声が聞こえた。

『逃げんな……逃げんなよ……逃げんな……逃げんなよ…』

「え……？　誰……？　誰かいる……？」

　聞き覚えのない声が微かに聞こえたかと思うと，再び嵐のような風が窓を叩いた。

『逃げんな……逃げんなよ……逃げんな……逃げんなよ…逃げんな……逃げんなよ……逃げんな……逃げんなよ…逃げんな……逃げんなよ……逃げんな……逃げんなよ…』

　頭の中でボソボソと呟くような声が響き渡ると，酔い潰れて全裸にされた櫻子の上で腰を振りながら呟いてる自分の姿を思い出した。

　誰に向かって呟いていたのか覚えていないが，この建物の大広間で酔い潰れた櫻子を新入生たちが順番に犯したことをハッキリと思い出した。