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(帰ってくるって分かっていたら、ちゃんとお迎えしたのになぁ……)
またしても奥さんらしいことをしそびれたと臍を噛む。
お迎えもそうだけれど、一緒に夕食を取れると分かっていれば、ちゃんと準備しておいたのに。自分一人だと思っていたから、今夜も簡単に済ますつもりで何も用意していない。
「寿々那?」
「え、……あ、はい」
「どうした、ぼうっとして。やっぱりどこか具合が悪いところがあるんじゃないのか?」
そう訊ねられながら顔をのぞき込まれ、ドキッと心臓が跳ねた。焦って言い訳を探す。
「いえ、あの……少し体がだるいだけです」
「倦怠感か……顔色もあまり良くないし貧血かもしれないな。俺が居ない間、ちゃんと食べていたのか?」
「え……えぇっと、」
切れ長の瞳に探るように覗き込まれ、思わず目が泳ぐ。
すると彼は「ふぅ~~」と長い息を吐くと突然、ソファーから立ち上がってダイニングの方へ歩いて行った。が、テーブルの脇に置いてある紙袋を手に取ると、すぐに戻って来た。
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