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「土産だ」
「えっ…、わたしにですか…?」
「ああ。要らなければ無理はしなくていい」
「要らないなんて、そんな……ありがとうございます」
受け取った紙袋を開けてみる。
中に入っているものを出しながら、わたしは「わぁっ…!」と思わず感嘆の声を上げた。
クッキーがたっぷり入った可愛い缶、中国茶の茶葉、チョコレートの箱。
「あ、…すごい可愛い……」
手に取った色鮮やかなスリッパには、繊細に刺繍された芍薬の花が。思わず顔がほころんだ。
「こんなにいっぱい……」
忙しい出張の合間にこんなにたくさんの物を、わたしのために選んできてくれたなんて。
少なくとも彼は、一緒に居ないときでもわたしのことを気にかけてくれているのだ。そう考えたら、なぜか心がふわっと明るくなった。
「ありがとうございます。―――おかえりなさい、祥さん」
お礼と共に言い忘れたセリフを口にすると、彼はなぜか一瞬動きを止めた。
どうしたんだろう。そう思いながら首をかしげると、柔らかく唇を重ねられた。
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