Prologue

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「ねぇ美咲。広報に非常勤講師の募集があったよ」 バラエティ番組の再放送を観ているときだった。 母の妹である美香子叔母さんがコーヒーとドーナツをテーブルに持ってきてくれていた。 『広報さぎやま』の職員募集ページをテーブルに広げる。 「色々バイトやってるみたいだけど。非常勤講師の時給、悪くないみたいよ?」 『広報さぎやま』の該当ページを覗き込む。 時給…以前教師をやっていた頃は時給なんて考えた事が無かった。「時給に換算するとやってられなくなる」と聞いた事があるからだ。 非常勤講師の時給…悪くない。 非常勤講師か…。色んなアルバイトを経験したけど、どの職種も非常勤講師の時給よりは低かった。お水や性を扱った仕事は選択肢に入れなかった。なんだかんだ私に出来る最高額の仕事はこれなのかもしれない。 教師という仕事自体は嫌いじゃなかった。寧ろ好きだったかも。働く環境が最低だっただけだったのかもしれない。
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