〜始まり〜

1/1
前へ
/5ページ
次へ

〜始まり〜

「是非やらせてください!それで私が  有名なれるのなら!」 マネージャーの佐藤からの妙案に 藤田が目を輝かせながら返答をした。 藤田 アカネは年齢26歳 職業はアイドルをしている。 ただアイドルと言っても週に2回 渋谷の地下スタジオでアイドル活動をしているだけなので アイドルと呼べるか相応しい所だ。 ファン層もなかなか新規が来ず いつもスタジオには顔見知りの古参ファンしか足を運ばない。 ファンの年齢層も30〜40後半の男性が ほぼ占めており 要の若者層が居ないのでSNSに拡散されず 知る人ぞ知るアイドルとなっている。 そんな中藤田に白羽の矢が立った。 ファンの一人がSNSを使って生計を立てているらしく、その強みを使用した仕事があり 藤田に有名になるチャンスがある!と 話を持ち掛けてきた。 その話の内容というのが 【365日アイドルの姿を観察してみよう】 という一見不審そうなものだった。 概要としては マンションの一室を借り 部屋の脱衣所とトイレ以外は 至るところにカメラが設置されており 死角がない、プライベートが守られていない 藤田が生活している様子をネット上のサイトからいつでもどこでも閲覧出来る。 その生活が一年間続くという内容だった。 この話を藤田に持ち掛けたときは さすがの藤田も訝しんでいたが ネット上でいつでも見られるなら 話題性もあるし、メディアに取り組まれるかもしれない!と一転、話を受託した。 ギャラも300万払うとの事なので その金の匂いにも釣られたのだろう。 食事も毎回好きなものを食べられるとの話だったので生活に困ってる 藤田にすれば持ってこいの仕事なのかもしれない。 早速仕事受託の話を例のファンに連絡すると 「それは良かった!早速なんですけど  明日からお願いしてもいいですか?」 日程の確認をされたが 藤田からも明日からでも今日からでも いけます! と先程の話で言っていたのを思い出したので 「明日からでも大丈夫です」 と返答した。 「良かった、良かった!それでしたら明日  渋谷のクリスタルマンション2F  201号室にお越しください  もう鍵は開けてあります。  入った瞬間にもう中継は始まっているので  それじゃ明日お願いしますね!」 「分かりました。藤田に伝えておきます  失礼致します」 連絡を切り、藤田に明日から仕事が始まることを伝えた。  藤田は 「了解です!荷造り今から始めます!」 意気揚々と宣言をして やる気をみなぎらせていた。 そして4月1日を迎え 藤田の 【365日アイドルの姿を観察しよう】 が始まるのだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加