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「認めねえ、認めねえぞ糞ジジイ!」
周囲のガヤが収まるほどの大声で吠えたペンスキーはジャケットの内側から9㎜ベレッタを取り出し、訓練通りに素早く安全装置を解除してデーニッツの喉に突き付けた。その強気はもちろん、拳銃の存在がもたらしているのだが。その後どうなったとしても、この場でジジイを射殺することだけはできる。
「お前らが何かきたねえ手を使ったんだろう!!そうだ、そうに違いねえ!お前なんか野良犬のようにぶっ殺してやる!おれの恩人を辱めた見返りはくれてやるぜ……」
デーニッツはその程度の生命の危機、日常茶飯事のようであった。異様な落ち着きは下手人を焦らせる。だがさすがに部下連中はそうもいかない。人間ロボ軍団たちは皆拳銃を取り出し、レイナードもステージの上から行動を起こそうとしたがそれはレイナードの横にいた女が制した。
「グレシア、デーニッツさんを助けないと……」
「いいんじゃない?あんな奴さっさと死んだほうがいいし……」
グレシアは目を細めて、ペンスキーがわけのわからないことを叫びながら、デーニッツどころか周りの参加者にも銃口をぶんぶん向けていることを見ても大した事とは考えていないようだ。もっと怖いものをたくさん見てきた、あんな奴あたしからすりゃ素人中の素人、と赤髪レイナードにつぶやいた。
「デーニッツのジジイ、あれぐらいで死ぬとは到底思えないからね」
「それはそうだが」
一抹の不安を抱えながら、レイナードはデーニッツに再び目を向けた。老人の表情は笑っている。
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