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エピローグ
翌日、下北啓一郎と金森凪沙の二人がちゃぶ台に突っ伏したまま息を引き取っているのを、郵便配達員が発見した。
二人は85歳という年相応に老けて死んでいた。それがどんなものであったにせよ、彼らを60年以上も悩ませ続けた未練を断ち切ったのだろう。
二人の遺体は荼毘に付され、夫婦として一緒の墓へ葬られた。彼らの安らかな死に顔を見た者なら誰でも、そうするのが正しい処置だと直感的にわかっただろう。
彼らは未練を断ち切り、人生を卒業した。誰に恥じることのない、実に立派な卒業であった。
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