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第1章
抱えた膝の上に、ヒラリと白い物が舞い降りる。
アーロンは自分の手に息を吹きかけ暖めながら、空を見上げた。
どんよりとした灰色の空から、今年最初の雪がヒラリヒラリと舞い降りてくる。
また冬が来る。寒くて辛い冬が・・・
家もなく家族もなく、路上生活をしている彼にとっては、辛くて苦しい季節。アーロンは掌に舞い降りる雪を眺め、ちいさく息を吐いた。
アーロンは孤児だった。彼が10歳になる年までは両親も健在で、何不自由なく育てられてきた。
しかしアーロンが10歳になった次の月、彼の両親は強盗に襲われ殺されてしまった。
何処にも身寄りがなかったアーロンを、当局は施設に入れた。
しかしアーロンは其処の余りにも劣悪な環境に耐え切れず、施設を逃亡。
スラムに逃げ込み、ゴミ箱を漁ったり、コソ泥を働いたりしながら、この3年を何とか生き延びていた。
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