5月〈2〉あたらしいともだち・2

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『環、久しぶりー! 女子校どう? 最高? 彼女できた?』  うなだれた。そういえば、こいつにも……と言うのは、噂には聞いている。最近、地元の友達から届く話題はこの手のことばかりだ。しかしどうしてこう、高校生になった途端こうなるんだ?  ついこの間まで、河原で石を投げて、水切りの回数を競っていたじゃないか!!  完全に置いて行かれているどころか、俺が()()()で女の子をとっかえひっかえ、好き勝手遊びまくっているという噂まで流れているらしい。もちろん火消しを頼んだが……この分だと消えてなさそうな気がする。  ……彼女なあ。友達はちゃんとできたが、今のところ別に好きだと思う人がいるわけでもない。気になる子はいるが……まあ、うん。  そんなことよりなにより勉強が忙しいし、他に考えなければならないことも多すぎる。はあ。どうしてもため息が漏れてしまう。今は夕食前、空腹のせいでただでさえ無い力がさらに抜けていく。  腹が減っては戦はできぬって言うよな……よし、しっかり食べてこよう。そう決めると、スマホに充電コードを挿した。 「環くん? どうしたのかな、先に行くよ?」 「ああっ先生! すみません! 待ってください!」  机の中から寮生カードを取り出しポケットに突っ込んで、部屋の明かりを消し、先生の後に続いた。
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